田舎と都会の両方暮らし

東京自宅と茨城実家を行ったり来たりしています。長く続けた仕事も面倒くさい人間関係も、大好きだった酒も酒場も皆さよならしました。断酒して4年、色んな断捨離続けます。古く寂れた実家を片付けして、心安らぐ住まいへ再生中。都会と田舎の両方暮らしで過ごします。三人の息子は社会人になって家を出て、賑やかだった生活も今は妻と2人。静かな日々となりました。

銀行員はどう生きるか

アメリカの現在の銀行の姿を通して、日本の銀行は今後どのような道を進んでいくのか、そして、銀行員はどう生きるべきか、を論じた時流の本を読んでみた。

銀行と銀行員は、これから大きな変革が待ち受けている。

フィンテックやAIによって、窓口業務や融資業務など銀行の多くの仕事が、どんどん人の手を介さなくなり、大幅に人員が削減される。

銀行員というだけでは、存在価値は大幅に低下する。普通の銀行員はもういらなくなる。

銀行員個人のスキルを磨いて、コンサル能力やコミュニケーション能力などを磨いていかないと、生き残れなくなる。

************************

一方、銀行を利用する顧客から見れば、将来の銀行は、今より一層使い易い便利な銀行となりそうだ。

待ち時間が長い、要求される書類や記入する書類が多い、敷居が高い、などなど顧客が兼ねてから不満を持つ、銀行の負のイメージ。

アメリカを例に取れば、そういった銀行の負のイメージを払拭し、顧客の満足度を大幅に向上させた銀行が生き残るからだ。

************************

以下は、この本のブックレビューと、私の感想が入り混じった長文。

興味あれば、お時間あるときにどうぞm(_ _)m

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


マイナス金利の長期化により、銀行の収益性は著しく低下。フィンテックの進展は銀行のビジネスモデルを大きく変えようとしている。

メガバンクが来年度は採用人員を大幅抑制することが報じられた。銀行が生き残るためには大きな変革が不可避、

という内容の本だ。

////////////////////////////////////////////

著者はアメリカの銀行の現状を紹介している。

米で起こったことは、時間を置いて日本でも実現するのは、歴史が物語っている。

米銀はリーマンショックで屋台骨を揺るがす大打撃を受けたが、10年足らずで大幅な変革を実現し、再生を遂げつつある銀行を紹介している。

キーワードは、店舗合理化と顧客満足度向上。

米銀の店舗合理化は衝撃的だ。

銀行内に入ると、居るのは支店長と2、3人の窓口担当者。あとはATM、テレビモニター。

店内全てがロビーとなっており、日本の銀行に見られるような、窓口の後ろの広い事務室は無い。事務は本部集中、若しくはAI対応だ。

支店長はフロアマネージャーとして一日中ロビーに立つ。顧客と話し、適切なコーナーに案内したり、相談に乗ったりする。

もちろん支店長室など無い。

投資やローンなど専門的な相談を受けた場合は、本部行員が待機するテレビモニターへと誘導する。

とにかく、支店ではできる限り人員とスペースを削減するという発想なのだ。

////////////////////////////////////////////

店舗合理化と同時に、顧客満足度の向上を米銀は目指した。

確かに以前の米銀の窓口対応はひどかった。

もう20年以上前の話になるが、私が米に行った時、銀行にいってみたら、顧客は窓口の前に立たされて列ばされていた。椅子などない。

真顔で仏頂面の行員に、「NEXT」とか言われながら、順に処理されてる感じだった。

まあ、米の銀行は皆こんな感じですよと、当時の駐在員が話していたのを覚えている。

今は違う。

フロアマネージャー化した支店長が、時間をかけずに適切な窓口へと顧客を案内する。

お待ち時間の根絶が第一義だ。

支店長も担当者も笑顔で対応。コミュニケーション能力は必須だ。

スターバックスの店員さんの様に。

////////////////////////////////////////////

顧客はペンで字を書かない。判子も必要ない。ただ、iPadのようなタブレットに触れるだけ。

AIをフル活用して無人化店舗もどんどん増やす。キャッシュレスの銀行も普通だ。

ただし、店舗チャネルは重視するので、店舗数は寧ろ増やす。

AIを駆使して店舗は効率化するが、店舗数は増やして顧客満足度を向上させる。

こういう離れ業を実現しているのが、アメリカで生き残っている銀行の現状だそうだ。

果たして日本の銀行はそこまで変われるか。

変わらないと生き残れないというのが、筆者の主張だ。

それに近い支店が日本にもあるそうだ。

それは三井住友銀行中野坂上支店。
一度、見学に行ってみないと。

////////////////////////////////////////////

銀行業務で多大なコストがかかっている業務と言えば、窓口業務と融資業務だろう。

どちらも多くの人員と膨大な事務量を費やしている。

一つ一つの作業を分解してAI化すれば、劇的に時間を削減できる作業が多い。

フィンテック企業から見れば、銀行業務は宝の山に見えるそうだ。

現にフィンテック企業でシステム開発をするスタッフは元銀行員が多く、銀行業務に精通した人達ばかりだ。

////////////////////////////////////////////

振込や公共料金支払い等は、コンビニ等外部に大幅に流失した。

銀行は、業務効率化に繋がると外部流出を許容したが、それは大きな間違いで、お金の流れというビックデータも同時に流失してしまった。

銀行は今、顧客のお金の流れが見えにくくなっていると筆者は忠告する。

////////////////////////////////////////////

新興のフィンテック企業が次に狙っているのは、融資業務だ。

銀行が膨大なコストをかけておこなっている融資業務を、大量のビックデータとAIを活用して、根こそぎ奪い取ろうと目論んでいると、筆者は述べる。

電子店舗ネットワークに参加している顧客企業は、そのネットワーク運営会社が提供する、ローンを活用する機会が多い。

ネットワーク運営会社は資金の流れを把握しているので、顧客企業のビックデータを入手でき、顧客企業の信用力をある程度判断できる。

銀行に口座は開設しても、その銀行では借り入れや住宅ローンを利用しないというパターンがどんどん増えているということだ。

こういう流れに銀行はどう対応すれば良いのだろうか。

また、個人個人の銀行員はどうすればいいのか。銀行に入れば安泰、ということは全く無くなった。

銀行員として何が出来るのか、スキルを磨き、資格等、外部から見て判断できるスキル力、コンサルティング能力を身につけていかないと、生き残れない。

////////////////////////////////////////////

仮想通貨の存在も気になる。

今は投機対象の面ばかりが強調されるが、
将来、円やドルなどのリアル通貨を脅かして、

決済通貨の中心的な存在になる可能性を予感するのは、私だけでは無いと思う。

////////////////////////////////////////////

私が30年以上前に銀行に就職した時、中途退職した人は数人だった。

しかし今や、就職した銀行員の3分の1、年次によっては半分が退職するという。

就職の人気ランキングも、年々下がってるいるらしい。若者が、銀行を敬遠しつつある。

私が銀行に就職する時「銀行 冬の時代」と言われていた。

現在は、従来の銀行ビジネスモデルが大幅な変革を迫られている。銀行という言葉自体が現実にマッチしなくなってきた。

あらゆる企業・個人がフィンテックを武器に金融ビジネスに参入。金融ビジネスはもはや、銀行だけのものでは無くなっている。

今は「銀行消失の時代」かも知れない。

f:id:midorikawa036:20180603222631j:image